会長挨拶

第29回日本医療保育学会 学術集会開催にあたって

 このたび、6月14日(土)15日(日)の日程におきまして、第29回日本医療保育学会総会・学術集会を聖徳大学(三田キャンパス)が主催校として担当をさせていただくことになりました。

 こども家庭庁が創設され、子どもはひとしくその権利の擁護が図られ、身体的・精神的・社会的に将来にわたって幸せな状態(ウェルビーイング)で生活を送ることができる「こどもまんなか社会」の実現を目指していくことになりました。

 子どもを主体として考えていくことは、医療を必要とする子どもたちにとっても重要な視点であることは言うまでもありません。子ども本人にとっては、一人ひとりの健康状態や発達段階に応じた支援や保育がなされて、発達を促されるとともに子どもの生きる、育つ、学ぶ権利が保障されることがウェルビーイングにつながります。また、医療を必要とする子どもは、家族からの医療面のケアや養育も欠かせません。家族にとってのウェルビーイングは、日々のケアや養育を行いながらも家族の一人ひとりのライフスタイルを大切にしていくために専門職による支援を受けて、安心した日々の生活を継続していくことにあります。

 これらを踏まえて、今年度の学術集会のテーマは「子どもと家族のウェルビーイングを支える医療保育のちから」としました。私たちはコロナ禍を経験し、前例がなく予測が出来ない事態に直面しましたが、それぞれの場で、子どもを取り巻く関係者が主体的に考え、子どもとその家族のウェルビーイングを支え続けてまいりました。感染症は落ち着きましたが、医療を必要とする子どもが成長していく過程には様々な課題が起きることもあります。学術集会では、講演、シンポジウム、発表などを通して、医療を必要とする子どもと家族を主体にした医療保育における取り組み、他の専門職とどのように連携するのか、さらには他機関、行政へどのように働きかけられているのか、そして、それぞれに直面する様々な課題について議論できればと考えております。

 会員の皆様の経験や知識を相互に持ち寄り、交流し、「子どもと家族のウェルビーイングを支える医療保育」をともに探求してまいりましょう。⼦どもたちのために新たな学びや指針が得られる学術集会となり、また、日々の実践へのエネルギーを得られますように、企画委員⼀同、運営に尽⼒してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

第29回日本医療保育学会総会・学術集会 会長
腰川 一惠(聖徳大学 学長補佐)